平成30年度狛江市一般会計に対する討論
予算編成方針の中では、財政健全化と見通しについて、臨時財政対策債を増やさざるを得ない状況とし、市債借入額を元金償還額以内にすることによる市債残高の削減も、継続することが大変厳しいとしています。平成30年度予算案では2億3500万円の収支不足を見込んでおり基金からの繰入金を増額して対応しています。このような厳しさの中で、これまでの成果と課題を十分に点検、検証し、目標達成に向けて取り組むとあります。しかし予算概要を見ますと、主な廃止、見直し、縮小事業は多くなく、一方で新規事業や拡充した取り組みが多いことが見て取れます。職員のワークライフバランスを考えても、再度、事業を見直すべき時期が来ているのではないでしょうか。たとえば花火や音楽祭のような一日で終わるイベントについては、その準備に必要な職員の労働量も含めた費用対効果をはかるべきです。一度始めた事業であっても、今後増え続ける民生費や超少子高齢社会を見据えた「縮小のビジョン」ともいうべき具体策が望まれます。
また人件費の把握については「人件費及び人件費に準ずる費用」について人口一人当たりの決算額で比較している数値として、答弁によると全国の類似団体が80,603円であるのに比べ、狛江市は57,275円と大変低くなっています。物件費のうち委託料が7割ほど占めているが詳しい内訳まで把握することは難しいとの事です。人件費については正規職員と嘱託職員、同一労働同一賃金の影響を含め適正値が決められること、予算や決算審議に向け市民に開示されることが必要です。
市民食堂は事業者との適宜情報交換を行っているとのことですが、市民ニーズに沿ったサービスや食事を提供できているのでしょうか。契約は2019年度末までの5年間、その後は1年ごとに有効期間を延長できるという協定との答弁でしたが、利用者アンケートの実施や市民食堂スペースの有効利用、メニューの工夫等更なる課題の解決を求めます。狛江産野菜の使用とアピールや市内障がい者施設等でつくるお菓子や餃子等の販売も積極的に取り組んでいただきたいと思います。
えきまえ三角地についてですが、狛江駅前三角地整備基本計画によれば「ほっとする」憩いの広場、「あんしんする」防災の広場、「わくわくする」にぎわいの広場が3つの活用方針として掲げられています。今回、所管が地域活性課となりましたが、駅前や市役所近辺のオープンスペースとして、防災の観点からもその活用は特に重要であると思われます。狛江駅前三角地に関し安心安全課との連携を要望します。
子ども若者施策としては、子ども食堂運営費補助の速やかな計上や若者支援ガイドの策定、プレーパークでの市民と行政の協働事業の進展、(仮称)北部児童館での中高生センター機能充実への取り組みや防音室へのドラムセット予算措置などを高く評価します。さらに今年度、要保護児童支援対策として里親制度や赤ちゃん縁組の市民への周知啓発の工夫や学童保育での作業療法士の活用するために小学生クラブ職員の学習会の実施など新しい取り組みの推進を期待しています。
省エネ創エネの取り組みは狛江での小水力発電実現をめざして活動する市民団体との協働事業で精力的にすすめていくことを求めます。
ハイパーQUは狛江での取組みは7年が経過し、経費の総額は21,483,973円となりました。心理テストとの認識でよいかとの質疑に「標準化された心理検査であり、心の健康診断」との答弁ですが、狛江市の教育現場において、義務教育9年間、年に2度、全く同じ質問の心理検査が子どもの意志が一切問われることなく強制的に実施されることはたいへん遺憾で問題であり、決して賛同できません。今後、悉皆ではなく教員の必要に応じて適宜実施する等の変更や子どもをエンパワーする理解や支援など有効な方策の検討を要望します。
一方、学校における標準服や体操着等の指定業者の選定は、学校ごとに運用されていたものを、指定業者選定事務取扱要領が策定され、選定手続きにおける透明性確保のルールが整備されたことを評価します。標準服に関しては世田谷区教育委員会では区内全中学校で性別問わずスカートとズボンを選べるようにする方向で校長会と検討する方針であるとしています。千葉市でも選択自由な標準服が実現していますので、狛江市でも検討を要望します。
自殺対策計画の策定では庁内をはじめ救急病院や医師、民生委員や保健師の連携が求められます。自殺総合対策大綱にもあるように「児童生徒のSOSの出し方に関する教育」を計画の中に位置づけていただき、SNSで死にたいとつぶやく若年層が、事件に巻き込まれることのないよう継続して教育委員会との連携をお願いします。
公園の計画については、平成27年度に都市計画変更を行った駒井公園に関するワークショップやフォーラムを行い、参加した子どもたちからの意見やニーズをくみ取り、「緑確保の総合的な方針」の中で整備の方向性が示されたことを評価します。
いたわりのあるまちづくについては、障がい者支援事業者が介護保険参入可能になり、新たに共生型サービスがはじまるが、障がいのある人が介護保険利用になっても今までと同じケアを受けることの保障が大切です。また障がい者の地域移行と地域定着を支える住まいの整備に関して、今以上にグループホームへの支援が求められますので拡充への取組を要望します。
人権とハラスメントについて申し上げます。
まず、相談された方たちの勇気ある行動に敬意を表します。
今からお話しする中で。ハラスメントの内容について触れる事もあり、被害を受けた相談者が聞いた場合にはつらい内容かもしれません。もしフラッシュバックなどの恐れがある方はご自身の状態に注意していただければと思います。3月1日の一般質問による問題提起から現在まで、セクシュアルハラスメントの被害を訴えた方の気持ちはどのように変化したでしょうか。自分たちの訴えや相談が無駄ではなかった、解決の糸口が見えたと受け止められたでしょうか。
文書によると、車内で手を握られた、エレベータ内でお尻を触られた、宴席で肩や胸も触られて困っている相談が職員課長に入っている、とあり、これは明らかな環境型セクシャルハラスメントにあたります。環境型とは労働環境が不快なものになることで能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、看過できないほどの支障が生じることを指します。もうひとつ、対価型ハラスメントは、被害者が解雇、降格、減給などの不利益を受けるものです。セクシャルハラスメントの判断基準は、望まない言動で不快に感じるものをいい、たとえ相手が「応じて」いても「望まない」言動であれば該当します。職場の地位や人間関係のなかで必ずしも明確な意思表示があるとは限りません。勝手な思い込みをしないことが必要です。裁判においても「抗議・抵抗がなかったからと言って、セクシャルハラスメントがなかったとは言えない」という判例があります。触られている、身体接触型ハラスメントの被害者でも、もし抵抗したり不快感を示したら、今よりもさらに被害が大きくなるのではないか、報復され、対価型の不利益を被るのではないか、と恐れて、声を上げられないケースが多い。また相手が自分より上位であって、声を上げられないからこそハラスメントになるスパイラルがあります。
東京都産業労働局が発行している雇用平等ガイドブック、職場におけるハラスメント防止ハンドブックによりますと「セクシャルハラスメントの一番の問題は、被害者が会社に居づらくなる、退職せざるを得ない、再就職が困難になる、対人恐怖症になるなど、心理的後遺症が残り、長期間にわたり回復しない事態が起こりうることです。これはお金で解決する問題ではありません。相手の一生を左右する問題となりうることを強く認識してください」とあります。問題解決後も深刻な後遺症を残すとはPTSD心的外傷後ストレス障害ですが、トラウマを受けて不眠、神経過敏、事件の再体験(フラッシュバック)、うつ、攻撃性、記憶障害などの症状に襲われて自己をコントロール出来なくなる状態です。セクハラを受けたその時だけではなく、長きに渡って苦しみが続き、悔しさや怒り悲しみ、後悔といったものにさいなまれます。
そのような状況にある被害者に対し、市長として謝罪をすべきであり、狛江市職員ハラスメント防止指針にあるように、市長の責務として、必要な措置を迅速かつ適切に講じるべきです。
仮に、行為者が市長であったとすれば「身に覚えがない」という言葉を聞く事自体が、傷の上からまた何度も傷つけられることになります。「職員に性的好奇心を持ったことはない」「みんなは喜んでいる、これはレアケース」「この文書は職員が想像を交えて書いた」なども被害者にとっては新たな傷につながります。
3月26日、NHKの情報番組でセクハラに関する特集を組んでいました。企業でセクハラ対策に取り組む弁護士によると「お尻を触るなどの身体的接触は一回でアウトである。会社に対し、上司を近づけないでほしい、上司を移動させてほしいと願い出ることも不当ではない」とのことでした。また先程お金で解決する問題ではないとありましたが、弁護士の所見ではお尻を触るなどの行為が継続的に続く、たとえば一週間続いた場合は慰謝料20万円と同時に懲戒処分、戒告などを求められる。お尻を触るなどの行為が一か月続く場合は慰謝料100万円、+解雇を含む懲戒処分を求めることができる。これが一つの目安である」と弁護士が言うと、コメンテーターが「この金額では安すぎる、もっと高くすれば抑止力が高まるのに」と言っていました。被害者が請求できるのは精神的な苦痛に対する慰謝料だけでなく、会社に懲戒処分を求めることによって上司に社会的制裁を与えることができる。よって加害者は金銭的にもダメージを負い、社会的身分を失う可能性もあることを強調していました。
かつて子育て介護は家庭の仕事であると言われてきましたが、今は違います。子育ても介護も社会全体で取り組む仕事であることに異論を唱える人はいません。セクシャルハラスメントも同様ではないか。様々な反応もありました。個人的なこと、プライベートなことなど、ことさらに矮小化する動きがあります。目撃者の中にも、被害者に共感しながら声を上げられない男性がいることも知りました。しかし何事もなかったとする動きにあきらめることなく、寄り添い、風穴を開けるのは、たった一人の痛みであり、それに共感し支える人々であったことを私は知っています。
さまざまな立場、ジェンダー、イデオロギーを超えて、ヒトとして!!、目の前にあるセクシャルハラスメントという暴力に対する姿勢が今、問われているのだと思います。
予算委員会でも質疑したように第三者委員会による調査、外部の相談窓口の設置、人権意識向上と組織改革の取り組み、市民の反応をどう受け止めるか、信頼回復のために何が出来るかについて納得できる具体的策が見えてきません。職員そして議員も一から学ぶ必要があります。30年度予算には市民福祉を実現するものも多く、予算編成にかかわる職員の方々の苦労を思うと苦渋の選択ではありますが、主に女性の声を政策につなげて来た地域政党として、さらに子どもたちに恥ずかしくない狛江にするために、また市長を応援してきた責任において、セクシャルハラスメントとパワーハラスメントを許すことは絶対にできません。そして何より謝罪、共感や誠意が見られないこと、真相の解明が進まないことに強く抗議し、狛江・生活者ネットワークとして原案に反対する討論といたします。