生まれ育った環境に左右されない未来のために①〈3月議会 一般質問〉

DSC_1269【狛江における子どもの相対的貧困】

2011年に厚生労働省が発表した「相対的貧困率の推移」のデータを見ると1985年から2009年にかけて子どもの貧困率は上昇し続け、そのペースは日本社会全体のそれと比べて速いことが見て取れます。

ユニセフが2012年に発表した先進20か国の子どもの貧困率について日本は4番目に高いという結果です。2014年内閣府「子ども若者白書」によると日本のひとり親世帯の貧困率はOECD諸国33か国中、ワースト1位で、平均が30%に対し日本は50.8%、つまり二人にひとりが貧困です。しかも、日本のひとり親世帯の就業率は母子家庭で81%、父子家庭で91%、これはアメリカ74%イギリス56%と比較しても高水準となっており、仕事をしているにも関わらず貧困率が高いことを示しています。日本は「絶対的貧困」が多い訳ではありません。2016年GDP世界第3位の日本でなぜこれほどまでに貧困や格差が深刻化しているのでしょうか。

でも狛江は大丈夫だよね?貧困に苦しむ子どもはいないよね?という意見も聞かれますが実際にはどうなのでしょうか。どのような数字を見ていけば狛江の現状を知ることができるのでしょうか。2年前からはじまった生活困窮者自立支援事業「こまYELL」ではさまざまな困難に対する相談を行っています。抱えている問題として例えば引きこもり、うつ、障がい、介護、無年金など、自己責任論では済まされない複合的、構造的な課題が見えてきます。

ひとり親世帯への経済的支援は主に児童手当と児童育成手当ですが、所得制限があります。児童扶養手当は所得によって支給額が異なり、年間57万円を超えると全部支給42,330円を止められて一部支給に移行していきます。狛江市においても2月時点で支給停止されたひとり親世帯は91世帯との事で大変厳しい状況であると推察されます。また受給要件には「父母が離婚している」必要があるため、離婚が成立していない場合の別居には適応されないなどの課題もあります。

 

※相対的貧困とは

所得の中央値の半分を下回っている人の割合で、つまりその国の所得格差を表している数字。所得格差に注目する指標であるため、日本など比較的豊かな先進国でも高い割合が示される。