シナリオリーディング「気持ちを言葉に」

前田先生(中央)と山下さち子さん(人形作家)、山本あき子(右)。フリースクールコピエにて

3月にフリースクールコピエで、シナリオリーディングの後、皆さんにこんな話をしました。

 今回は希望があったBLEACHの黒棺の場面を読みました。死神が人間を倒すために呪文を詠唱するという、非常に難しいシーンでしたが、皆さんとても集中して、役に入り込んでいました。より感情を高めるために、そのシーンで使われている音楽をiPhoneから流すなどのアイディアも素晴らしかったです。
読んでみたいなと思うセリフを実際に声に出して読む。シナリオリーディングはそれだけで良いのですが、年度末ということも有り、今日は少し話をさせて頂きますね。

【言葉の力】 今まで、色々な役を演じて来ましたが、魔法使いや死神や超能力者でなくても、実はみなさんには、凄い能力が備わっているんです。 それは、言葉の力です。
言葉は、今日の場面の様に、人を攻撃する事もでき、逆に癒すことも出来ます。何故なら、言葉には気持ちが入っているからです。
このレッスンではずっと、言葉に気持ちをのせていく、気持ちを言葉にする、ということを意識してやってきました。これは学校では、なかなか教えてくれないのではないでしょうか。言葉の意味を知っているか、漢字を多く覚えているか、つっかえないでスラスラ読めるか等は学校で習いますが、自分の気持ちを言葉にするトレーニングは受けていない。そればかりかむしろ、気持ちを出さないのが良い事である、感情を露わにしないのが大人である、というメッセージを様々なところから受け取ってしまい、次第に気持ちを出さない事に慣れていく…。
【気持ちの言語化】 けれども、人には色々な感情が有ります。当然、マイナスの感情も有る。誰だって、時には愚痴ったり弱音をはきたい時が有るし、攻撃的にもなる。それが自然です。一度も泣きわめいたり、心の底から怒ったりした経験もなく大人になるなんて、少し変じゃないかな?と私は思うのですが、皆さんはどう思いますか?
とにかく、シナリオリーディングの場では、自分の中のどんな気持ちも否定しないで、言葉に出してみて下さい。自分としては言えない言葉も、役を通してセリフとして言ってみる。そしてそこから自分の言葉を見つけ育てていく。それが、自分はこれで良いんだという感じ(自己肯定感)に繋がります。
今日も楽しい時間をありがとうございました。ではまた来年度、皆さんのリーディングを楽しみにしています。

 ある時、コピエの前田先生から「言語化が大切ですね」と言われ、まさに私の思いを言語化して頂いて以来、この言葉を大切にしてきました。これからも、シナリオリーディングの活動を通して、こどもの気持ちの言語化を支援してまいります。