「何もしない幼稚園」

2015年7月22日 00時16分 | カテゴリー: 活動報告

 

 

雑木林の中にある幼稚園、愛知たいよう幼稚園もりのようちえんへ見学に行きました。発表会や学芸会といったイベントがなく、言葉や音楽を教えることもしない。子どもたちは、一日中屋外で遊びまわって過ごします。遊具は少しだけあるものの、子どもは用意されたものではあまり遊ばない、と案内をしてくださったボランティアの村瀬さんは言います。校舎は木造で、冷暖房が設置していない。冬は突き刺すような寒さに襲われ、年少の子が泣き出すと年上の子たちが雑木林を走って薪を拾い、火を炊いて温まる。そのようにして育った子は、驚くほど怪我が少なく、自然と向き合い危機を察知する能力が身についているそうです。

もりのようちえんでは毎日が遠足

「大人の目から隠れて遊ぶことが出来る場所なんです。」 この言葉は、子どもにとって、大人の目から隠れられるというだけで大きな冒険なんだという事を思い出させてくれました。私たちは今まで、いかに大人の目を届かせるかに一生懸命になっていましたが、大人が頭で考える遊びと、子どもが全身で感じとる遊びとでは大きな隔たりがあるのかもしれないと、私もひとりの親として反省しました。

名古屋市に隣接する愛知県長久手市は人口五万人。子育てがしやすい市として日本一になっています。吉田一平市長から、何もしない幼稚園を作った理由をお聞きしました。
「子どもはね、これからつらい事も経験するかもしれんけど、小さい時にね、心の底から楽しかった、思いっきり遊んだという記憶がね、そういう経験が大切だと思うんです。ああ、生きていることがこんなにも楽しいのか、という事を小さい時に子どもに感じさせる事が、大人の役割ではないかと思うんですね。」

生きていることがこんなにも楽しい、生きているだけでこんなにも楽しいと遊びの中で感じられた事を、どれほどの大人が経験しているでしょうか。そして今、自分達は経験しなかったけれども、大人になり親になって、次世代のために夢を実現しようとする、そんな方達が増えているようです。

 

「もりのようちえん」を運営するのは、学校法人吉田学園。社会福祉法人愛知たいようの杜の系列施設です。

 
かつて、ふるさとの長久手から雑木林がどんどん切られてなくなってしまうのをみた吉田市長は「雑木林をなんとか残したい」「ふるさとの原風景を取り戻したい」と思い、雑木林の中に幼稚園、特別養護老人ホーム、ショートステイ施設を作りました。

 
 

 

園児も高齢者もみんな、多世代が森の中で過ごしている

サラリーマン時代「5時から」が待ち遠しくて仕方がなかった吉田市長。
地球上の動物や植物たち、人間でも幼い子どもやお年寄りたちは「5時から」の生活をしている。
他人から拘束されず、せきたてられず、自由に過ごす時の楽しさを満喫している。
そんな夢のような空間が「ゴジカラ村」なのです。

「のんびり生きられる世の中があっても良いんじゃないですかね」という吉田市長の言葉に、大人の役割について深く考えさせられた、とても有意義な視察でした。

(なるべく木を伐らないように樹木の間に幼稚園の教室が建てられています。)

 

(山本あき子)